バーリであわや一触即発!?
南イタリアのアドリア海側で最大の都市バーリはなにかと物騒な噂を耳にする街。特に旧市街は地元の人も眉をひそめるほどの無法地帯のように聞いていました。「カメラをぶら下げて歩いていてはいけない」「ショルダーバッグやリュックも危ない」「バイクによる引ったくりがある」「アルバニア難民が怖い」「とにかく旧市街には近づかない方がいい」等々。そして、それは一介の旅行者にとっては確かに正しいアドバイスと言わざるを得ない一面もあるかもしれないというのがバーリという街の実情なのでしょうか。
なんだか奥歯に物が挟まって、挟まって、挟まりまくっているような変な日本語になってしまいました。
結論から言うと、バーリの旧市街、行って来ました。危険な目にも遭いませんでした。リゾートや観光の街でない、バカンスシーズンのバーリは、8月いっぱいクローズしている店やレストランが多くひっそりしていましたが、それでも旧市街へやってくる観光客のためにか、2人組みのポリスをあちこちで見かけました。ポリスが目を光らせてくれているせいで旧市街でもサン・ニコラ教会やカテドラーレのあたりはまったく危険なムードは感じませんでした。でも、迷路のような旧市街の奥はさすがに何が起こるかわからないような不穏な空気を感じないでもありませんでした。(変な日本語が続きますが、本当に治安については微妙な表現しかできません。危機管理能力には個人差、旅行経験の差が出るので)
サン・ニコラ教会 カテドラーレ ノルマン城前の「少年」 ノルマン城の内部では展覧会が開かれていました。
バーリについていろいろと耳にしていて多少びびっていたせいか、実際バーリに着いてみると「あれ、意外にきれいな街じゃない」というのが最初の印象。駅前は都会的だし少し歩くと噴水のあるきれいな公園もある。緊張感もやや解け公園のベンチに座ってしばし休息していると突然、「ピシッ!」と左足に痛みが!一瞬何事が起こったのかわからず頭の中が真っ白に。慌ててあたりを見回しても周りの人たちは何も気づいていない様子。
足元を見るとドングリが転がっていました。再びあたりを見回すと向こうの方に中学生ぐらいの少年達がはしゃいでいるのを見つけました。
やっと何が起こったのか理解しました。「ドングリをぶつけられたんだ!」その時、わたしの頭の中には「人種差別」「ひったくり」「危険」「無法地帯」等々の単語がぐるぐると渦巻いていました。おまけに周りにいる人たちみんなが、気づかぬふりをしながら私がどういう反応を示すかこっそり様子をうかがっているような、そんな風に思えてきたのです。最初のとまどいと恐れは恥ずかしさに、そしてだんだんと悔しさ、腹立たしさに変わっていきました。
「これは差別、嫌がらせに違いない!」そう思うとムカムカしてきてじっと座っていられなくなってきました。気が付くと、つかつかと少年達の方へ向かっていました。少年の一人が手に石などを飛ばすパチンコを持っているのを目にするとたまらなくなって日本語で思いっきり文句を言ってしまいました。
「これあんた達がぶつけたんでしょ。あやまりなさい!」それでも少年達は「何を言っているのかわからないよ」といった表情をしたり、へらへら笑ったりで埒があかない。だいぶ文句を言ったけど所詮日本語。通じない。悔しいので「もうっ!!ムカツク、くそガキ!バカヤロー!」と捨て台詞を残しとぼとぼと商店街の方へ去りました。ほんとはイタリア語で「○○○○○○○○」とか英語で「○○○○○○」とか言ってやりたい気分でしたが、そんなことを言うと今度は袋叩きに合うかも・・・とさすがに口にはできませんでした。
しばらく歩いていると、後ろから数人が走ってくる足音が。「ひったくりか?」と思い身構えて振り返ると何とさっきの少年達!文句を言いに来たのかと緊張感が走る。
向こうも今度は真面目な表情で、やがて意を決したかのように年長らしい少年が「スクーザ!(ごめんなさい)」と言うとさっとこちらに手を差し伸べたのです。
かっこいい!やられた!お見事!今度は頭の中にそんな言葉が駆け巡りました。あまりにも鮮やか過ぎて、さわやか過ぎて、私は彼の手を握り返すことができませんでした。
「こんな子供に一本取られたわい!」みたいな悔しさ恥ずかしさ、ばつの悪さがあったのです。私の頭では、謝るとは相手に頭を下げることしか考えていなかったのです。
私が握手を拒んだので少年達は戸惑っていましたが、それ以上に私の方が今度は困ってしまいました。「しまった。もったいつけるんじゃなかった。仲直りのタイミングを逃してしまった。だいたい彼らだってわざとぶつけたわけじゃなかったのだ。たまたま私の足に当たっただけなのだ。すべては私がバーリに対して持っていたイメージが生んだ被害妄想だったのだ。」しかたないので「わざとぶつけたんじゃないよね?」と確認しようとするが日本語しかしゃべれないので通じるわけもなし。しばし気まずい雰囲気が漂う。
結局、少年達がもう一度「スクーザ」と謝ったところでやっとけりをつけました。あー、私ってもったいつけた嫌な女!あの時すぐ少年の手を握り返していたら彼らと友達になれたかも知れなかったのに。もしかしたら、彼らに「日本人って感じ悪い。」というイメージを植え付けてしまったかもしれません。差別に対してナーバスになっていた私自身が実は彼らに対して偏見を持っていたのです。恥ずかしいです。今、思い出してもちょっと胸の痛む出来事でした。(文章と写真は関係ありません。)

ノルマン城向かいの旧市街 海岸通の散歩道 バーリでの宿「ペンショーネ・ジュリア」
南イタリアの交通の要所という以外、見どころの少ないバーリですが食べ物は美味しいです。おすすめはシーフードとジェラートです。

タコ・イカがいっぱいの海の幸のサラダ シーフードのオレキエッテ ジャガイモの入ったトマト風味のリゾット
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