++ 空が、堕ちた日++
思い返してみれば俺の人生は、太陽みたいに豪快なあの笑顔とずっと一緒にあった。
まだ半人前の小僧だった頃からずっと。
だから、どこかで道を違えるなんて事・・・夢にも考えたことなかった。
多摩の田舎から花の都へ飛び出してから、いろんなもんが変わった。
だけど、決して芯までは変わらないと、信じていたかったんだ。
・・・それは、もしかしたら俺が一番変わっちまったからなのかもしれない。
土埃にまみれたよれた着物で剣を振るう、そんなアンタによく似合ってた青空が・・・
同じ空の筈なのに、京の都じゃひどく狭かったなぁ。
アンタと別れて、どれくらい経つだろう。
俺達ぁ、まだ新撰組の旗を掲げているよ。
ようやく・・・そう、ようやく、だ。
ようやく、転戦を重ねる俺のところに、アンタの訃報が届いたよ。
・・・最期まで、立派に志を貫けたかい?
俺は・・・アンタの最期をしたためた書簡を、ビリビリに引き裂いて火鉢に放り込んじまった。
まったく・・・俺らしくないって、自嘲しながらさ。
まだ信じられないけど・・・でも、頭のどこかではわかってる事だった。
白刃がきらめいて、ごろりと頭が転がる・・・よく見た風景じゃねぇか。
・・・その首がアンタだってだけの事。ほんの一瞬で済む、この手紙が燃え尽きるよりも簡単な最期。
そうして、アンタの頭上高く広がっていたあの青い青い空は
・・・俺の世界から、消えてなくなった。
お天道様なんざ仰げやしねぇ血塗られた地獄道を歩いてる俺が
唯一見上げることのできる、青く澄みわたったきれいな空だったよ・・・あんたはね。
神様なんてものがもしもどこかに居たならば、
あの人の最期を見届けることもできなかった俺の代わりに、どうか天の涙を手向けてやってくれ。
俺があの青い空を思いださないよう、厚い暗雲で空を覆っちまってくれ。
あとに残ったどこまでも続く底無しの、真黒な暗闇・・・。
・・・どうか、俺が血迷って あの空を恋しがったりしないように。
―――空が、堕ちた日・・・。
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