| 第一弾小説〜その2年後〜 |
管理人が考えた小説です。
シャアの反乱から約2年。時は流れ宇宙世紀095年。反乱騒動も治まり平和な世界だった。が、ネオ・ヒューマン軍が全世界に対して宣戦布告をしてきたのである。
相手の兵力はすばらしくMSも豊富。このままでは人口が減ってしまって人類絶滅の危機が訪れる。その最悪の事態を避けるために交渉は幾度となくやってきた。しかし、ネオ・ヒューマン軍は「滅ぼすまで戦う。そしてわれわれネオ・ヒューマンが新しい人類となるのだ!」と言って交渉は中断される。やはり人は戦わずにはいられない生き物なのか?すでにロンド・ベルは旧型のMS量産型リ・ガズィでは対抗し切れなかった。このままでは負ける。すなわち人類の絶滅だ。ロンド・ベル軍は新型のMSの開発を急いだ。そのあいだにもネオ・ヒューマン軍の汎用MS、N・ドーガが攻撃してくる。N・ドーガはネオ・ジオン軍の汎用MSギラ・ドーガの後継機にあたるものだ。
そして数ヵ月後、新しいMSができた。その名も、「Hi−νガンダム」だ。このモビルスーツは伝説のエースパイロットアムロ大尉が搭乗したνガンダムの後継機で、パイロットはジュナス・リアム。ジュナス・リアムの階級は少尉。若干15歳なのだが高いパイロット能力が感じ取られる。昔の戦争でも少年が新型MSに乗って数多くの戦果をあげてきたのだ。そう珍しくはない。
後もう2機製造されている。1機はパーフェクト・ガンダム。ガンダムをベースに開発されたMS。パイロットはエルンスト・イェーガー。25歳と、ジュナスと10歳も離れているのだがクルーの「お兄さん役」というかんじの人だ。階級は中尉。
あと1機はアサルトバスターガンダムだ。これもガンダムをベースに開発されたMS。パイロットはエリス・クロードだ。女性でありながらも高いパイロット能力を持っている。階級は少尉。
「カルさん、新型、調子いいですね!」
と、整備班長カル・クロサワに話しかけるジュナス。それにきげんを良くしたのか
「あたりまえだぜ!俺が整備するMSは性能をぐんとあげるぜ!」
あたりに笑い声があふれる。が、平和な時間もそれまでだ。激しいアラートの音が艦内に響き渡る。
「総員、第一戦闘配備!ネオ・ヒューマン軍のN・ドーガ三機接近中!」
ゼノン・ティゲール艦長の声も艦内に響き渡る。
「MSは全機発進!初陣だ!」
「ジュナス、Hi−νガンダム、いきます!」
「イェーガー、パーフェクト、でるぜっ!」
「エリス、アサルトバスター、でますっ!」
バシュゥゥゥゥン!!
三機は、勢いよくカタパルト・ハッチからとびだした。
見慣れないMSに戸惑いを隠せない様子のN・ドーガ。
「本艦を護衛しつつ、MSを迎撃してください!」
オペレーターのパメラ・スミスの声だ。
『了解!』
三人は声をそろえていった。
「初陣だ!いっちょ名台詞でもとってやるかね!」
勇ましくそういって敵に取り掛かって言ったのはエルンスト・イェーガーだ。
「うおおおおおおお!」
ビャーン!
左腕に内蔵されているシールドは先端部分からビーム・サーベルを出すのだ。N・ドーガの胴体は真っ二つに割れた。
これを機に、残りの二機のガンダムも反撃に出た。
「うぉぉぉおおぉぉぉ!いっけぇーーー!フィン・ファンネル!」
Hi−νガンダムの背中のバックパックに取り付けられた10枚の放熱板を3枚取り外す。放熱板は折り曲がり、そこからビームを発射する。だがこの兵器は特別な人にしか扱えない代物だ。
びぃぃぃぃぃぃぃん!
3枚のフィン・ファンネルが同時に火を噴いた。と、同時にN・ドーガも爆発した。
「あたしも!えいっ!」
といってアサルトバスターガンダムの肩にかけられたメガ・ビーム砲が火を噴いた。
ずぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
激しいビームがN・ドーガを爆発させる。
「MS全機破壊!作戦成功です!帰艦してください!」
そう、初陣初勝利だ。
「やるじゃねえか!ぼうず!」
「あ、ありがとうございます!」
そういってきたのはイェーガーとジュナスだった。
「ほらよっ!ビールは飲めないからおこちゃまらしくオレンジジュースをもってきてやったぜ!」
「おこちゃまじゃありませんよ!イェーガーさん!」
「ははっ十分おこちゃまだぜ!」
「もう!」
「ま〜ったく、くだらない会話してんじゃないの」
そういって現れたのはエリス・クロードだ。
「いいじゃんか!」
「あはは、ば〜かっ!」
「おまえなあ・・・もう」
「そろそろ食事にいこうぜ」
「ああ、そうします」
陽気な気分で食事をとっていた。と、そのときアラート音がなりはじめた。
『総員!第一戦闘配備!』
「やれやれ、ったく。新型はよく狙われる!」
「MSデッキへ!出撃です!」
「ま〜ったく!ちゃんと食事をとらないと体に悪いのに!」
『機種特定!N・ドーガが・・・10機!?』
「そう心配なさんなって!」
「うふふ、楽勝?」
「油断してちゃだめですよ!二人とも!」
『進路オールクリア。どうぞっ!』
ばしゅっっっっっっっ!
「ここが艦長の腕の見せ所だ!」
「うわっ!さすがに多いな・・・だがっ!ファンネルたちっ!」
ファンネルを5基はずした。
「うおら!堕ちろっ!」
ダブル・メガ・ライフルが火を噴く。
二人の連携プレーはすばらしく、一気に8機落とした。
「ふたりともめだっちゃってぇ!わたしも!えいっ!」
ロング・ライフルが火を噴く。
ひゅんっっっっ!
どうやら直撃のようだ。
『全機撃墜!撤退していきます!・・・い、いえ!一機接近中!機種特定!サ、サイコドーガ!?』
「!!!!!うううあぁぁぁぁぁぁあぁっぁぁぁぁぁああぁ!!!!!!」
「!ジュナス!どうした!?」
「うぐ・・・あああぁぁぁぁあぁあ!!!」
「く・・・エリス!ジュナスをつれて帰艦しろ!」
「わ、わかった!」
「ちきしょう・・・俺一人でサイコドーガをしとめれるか?」
サイコ・ドーガがせまってくる。サイコドーガ。MSとしてこれいじょうに怖いものはない。パイロットは不明。赤で塗装されている。肩と腰にはファンネルがそれぞれ8基ずつある。
「ふ・・・一撃でしとめてやる!」
「きしょう!やらせるかってんだ!」
ダブル・メガ・ライフルを連射する。
「ふはははは!当たらん!」
「くそっ!なんてやつだ!これはどうだ!」
パーフェクトにはほかに肩にキャノン砲も装備している。
ぱっひゅぅぅぅぅぅぅぅん!
ばちゅぅぅぅぅぅぅぅぅん!
N・サイコドーガのメガ・ビーム・ライフルにうちおとされる。
「ちくしょう!うおおおおおおおお!」
「ほう・・・接近戦か・・・」
ビャーン!
ビシーン!
「むだっ!」
「イェーガー中尉!援護します!」
ズギュズギューン!
ロング・ライフルを斉射する。
「ええーい!新型二機ではこちらが不利だ!帰艦する!」
『敵MS撤退!・・・おつかれさまでした・・・』
「はあ、はあ、はあ・・・・・なんてやろうだ!つええ!あ、あとジュナスのぐあいは?」
「N・サイコドーガが撤退したあとよくなりつつあります。」
「そうか。よかった・・・」
苦くも勝利を収めたのであった。
「おい、ジュナスは?」
「医務室です!」
「ありがとうよ」
イェーガーだ。ジュナスのことをおこちゃま呼ばわりしているがちゃんと心配している。
プシューン
ドアがあいた。
「どうだ、具合は」
「はい、いいですよ」
「・・・おまえ、あのパイロットと何かあったのか?昔」
「いえ、初めて見ます」
「そうか・・・だがなぜあんな発作を?」
「さあ・・・よくわからないんですが気持ち悪い『意思』が、僕の中に入り込んできたのです」
「そうかまあ今夜はぐっすり寝とけよ!」
「ありがとうございます・・・」
『しかし何かを隠している・・・まあいずれわかることだろう・・・』
そしてイェーガーは、艦橋へと上がって行った。
「艦長、艦のコースはどこへ?」
「補給をしにいったんルナツーへむかう。その後地球へ行けとさ」
「地球・・・でありますか?」
「そうだ。まったくお偉方は何を考えてるんだよ・・・」
この日もいつもとかわらぬ静けさだった。
『コースクリア。ルナツー基地着艦。』
ジュナスたちが乗っている戦艦、「ラー・カイン」が、ルナツー基地へ入港した。
「ルナツー基地司令官ワイマン少将、ラー・カイン部隊到着しました!」
「うむ。まあゆっくりしてくれ。それから新型のパイロットと艦長はあとで司令官室まで来てくれ。」
「わかりました!」
ジュナスたちは司令官室へ向かった。
「ごくろう。それで、どうかね新型は。」
「良好であります!」
「そうかね。よかった。このMS達が量産されれば戦争は終わる。そうだとおもわんかね?」
「はっ!おっしゃるとおりであります!」
「君達を地球へ送ることの意味はお分かりかね?そう、一気に地上のネオ・ヒューマン軍を掃討するのだ。」
ザワザワッ
司令官室が驚きの声で包まれた。
「われわれだけで、でありますか?」
「そちらにも援軍は送る。君達を主として戦線に出向いて欲しい。」
「お言葉ですが、少将それは少し危ないのでは?」
「君たちの腕を買って新型のパイロットにしたのだ。私はあまりすすめたくないのだが・・・上がそういっているのだ。」
ジュナスたちが嫌がるのも当然だ。なんたって今は圧倒的にネオ・ヒューマン軍の方が優勢なのだ。ロンド・ベルはMSこそあるもののネオ・ヒューマン軍の方が圧倒的に物量がある。連邦は怖がってN・H軍と戦おうとはしない。それなのに行けと。誰だって嫌がる。しかしほうっておくと何をするかわからない。
「俺は行く。じゃないと死んじまう。それだけさ・・・」
「僕も。悲劇は繰り返しちゃだめだから。」
「皆が行くなら私もいく。」
「と、いうことです。私は艦長なんで連れていかんといけない。」
「・・・すまん。君達には本当に感謝している。では、補給が終わり次第大至急地球のほうへ向かうぞ。」
「了解!」
ジュナスたちは護衛のルナツー艦隊と一緒に降下ポイントへ向かう。
「降下ポイント到着。降下シークエンスまで後10分」
放送が艦内に鳴り響く。
「MSパイロットは第二戦闘配備」
N・H軍がこの機会を逃すはずがない。すでにルナツーの護衛艦隊はMSを展開している。ジェガンだ。
ヴィーン!ヴィーン!
艦内にアラート音が鳴り響く。
「総員!第一戦闘配備!」
やはりきたか―。クルーは全員そう思った。
「いくぞ!スミス!MS部隊の規模は?」
モニターに話しかけたのはイェーガーだ。
「規模はMSが50!サイコ・ドーガがいるわ!」
「なんだってえ!」
イェーガーはジュナスが心配だった。
「ジュナス!大丈夫か?」
「はい!今度は!」
「また倒れないでよ!」
「わかってますって!」
エリスが言うと妙に楽観的に思える。
「いきますっ!」
バシュッ!
カタパルト・ハッチから出て行った。
ドドーン!
もう戦闘は始まっている。
「フィン・ファンネル!いけえ!」
8枚のフィン・ファンネルをはずした。
『ルナツー艦隊3隻沈黙!』
「MSは何をやってる!」
「ええーい!」
アサルトバスターのメガ・ビーム砲を斉射した。
ドドドドドドドーン!
おそらく10機は撃墜しただろう。
「ふ、こっちも負けてらんねーよ!」
ダブル・メガ・ライフルを撃つ。
「うわあ!ビームがー!」
ドーン!
N・ドーガが爆発した。と、その爆発の後ろからなにかがやってくる。
「っ!サイコ・ドーガ!?」
一番に感じ取ったのはジュナスだった。
「ふ、ふふふ!今度はやられん!ファンネル!」
ファンネルを8基中5基はずした。
「ジュナス!大丈夫か!?」
イェーガーがいってくる。
「大丈夫です!それよりN・ドーガを!」
「わかった!」
一人で戦うことにした。
「たいした度胸だな!」
「ギルダーさんならやめてください!」
―ギルダー。その名は・・・
彼はマーク・ギルダーと言う名前だったのだ。しかし彼はその名を捨てた。
「私はマーク・ギルダーではない!その名は捨てた!今は一兵士だ!」
ギルダーは吐き捨てるように言った。
「そ・・・んな、あのやさしかったギルダー兄さんが・・・?」
「やめろ!ジュナスか!?武器を捨てろ!いつも俺には勝てなかったろう!?さあ、早く!」
ギルダーは怒り口調で言った。しかし、ジュナスにその意思はない。
「く・・・そ!うわああああああ!」
ジュナスはフィン・ファンネルをすべてサイコ・ドーガの方へ向けた。
「ジュナス・・・お前がその気なら俺は・・・お前を・・・」
その時だった。通信音が鳴り響く。
『降下シークエンス、入ります!MS隊は戻ってください!』
「もう・・・!?ちっ!」
ジュナスは舌打ちした。
「くそ!こちらも戻らんとな!ラインデ、帰艦する!!」
ギルダーも戻る。
「ワイマン少将、お見送り、ありがとうございます!」
「うむ・・・地球へ行ってもがんばれよ!いや・・・死なないでくれ・・・」
「はっ!了解!」
こうしてラー・カイン部隊は地球へと降下して行った。
| 〜地球イギネラ陥落編〜 |
地球の唯一のロンド・ベル指揮下にある場所カナダ本部へ着いた。
「ラー・カイン部隊到着いたしました!」
「うむ。ご苦労。いきなりで申し訳ないのだが作戦に参加してもらう。」
そう言ってきたのはワンメル大佐だ。
「作戦、と申しますと?」
ゼノン艦長は丁寧に答えた。
「うむ。N・H軍の拠点イギネラを陥落させる。いいな!?」
拠点イギネラとは、大要塞であり補給基地でもある。
「確かにイギネラを陥落できたら相手には大打撃ですが・・・今の戦力で、ですか?」
「仕方ないだろう。戦争の早期終結をせねばならんからな。」
「はっ!全力を尽くします!」
「すまんな、クルーは若者ばかりなのに。今日はゆっくり休んでくれ。明日出撃だ。」
クルーは艦に戻った。
「はぁ。めんどくせ〜」
大きなため息をついたのはイェーガーだ。ジュナスが部屋に入ってきた。
「今度の作戦、大きいですね。」
「ん?ああ、ジュナスか・・・まあな。」
「明日出撃ですから早く寝ましょう。それじゃおやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
部屋は暗くなった。その暗闇の中でイェーガーはふと思った。
‐今の戦争がおわったら何しよう。‐
そんな事を考えていた。いつ終わるかわからないのに。
イギネラ攻略作戦当日―
「諸君ら!この攻略作戦が成功したら地上での戦闘が楽になる!だが戦いはきつい!でも!それを乗り越えるのだ!
「ふぅ!力強い演説!」
イェーガーが言う。すこし見直している。
「あはは!声でか〜い!」
エリスが言うと注意された。
「―それでは各部隊はスタンバイ!5分後、出発する!」
―後5分。
ジュナスは不安だった。なんにせよ、始めて地球に来たのだ。いつも宇宙にいて戦闘をしている。フィン・ファンネルはつかえない。
「おい、ジュナス不安か?大丈夫。お前は強いから!」
「あ、はい。支援、お願いしますよ!」
「まーかせとけって!」
そのとき、放送音が鳴る。
『MSパイロットはコクピットで待機!ラー・カイン発進します!』
戦艦ドックから発進した。続けざまに戦艦が発進する。護衛のMSはもう出ている。
『熱源!距離500!イギネラからです!』
「回避運動しつつメガ粒子砲スタンバイ、ミサイル、てぇぇぇーい!」
始まった。辺りは爆発音で包まれる。
『MS隊、出撃!』
三機のガンダムが発進した。そのガンダムが見つめるのは勝利か、敗北か・・・
「―よし。例の三機が出てきたな!?特別部隊、出撃!」
N・H軍の特殊部隊が出るのは稀だ。一大作戦でもしない限りやつらは出てこない。それを出したのだ。新型はそれほど重目されていた。
「んん?ちっ!特殊部隊!ジュナス!来たぞ!気をつけろ!」
イェーガーは以前にも戦ったことがあり、機体を中破された。
「わかりました!援護、行きます!」
ジューンジューンジューン!
ν・ビームライフルを撃っても避けられる。相手はかなり手強い。
「うおおおおお!堕ちろー!」
ビイイイイン!
N・ドーガと格闘戦に入った。しかしこのN・ドーガは違う。灰色に塗装されている。
「ちっ!爆煙の悪魔ラナロウ・シェイドか!」
爆煙の悪魔ラナロウ・シェイドとは連邦の戦艦をたやすく破壊し、その爆煙の中に身を隠し、奇襲をかけた事からそう呼ばれるようになった。
ビャーン!ビシーン!
力は五分五分ぐらいだろうか。だが、わずかにラナロウ・シェイドが押している。
「くそっ!エネルギーが!・・・いったん補給にもどる!ジュナス!援護を!」
「了解!」
イェーガーは艦の所へ戻って行った。
『パーフェクト、帰艦します。』
「よーしすぐ済ませよ!」
『熱源!』
「回避っ!」
ヒューン!
ぎりぎりだった。下手をすれば直撃する所だった。しかしこの艦のクルーは優秀だ。普通の艦なら直撃は免れなかっただろう。
「補給は後何分かかる!?」
「3分程度です!」
補給はすぐに終わった。そしてイェーガーはすぐ戦場へ舞い戻って行った。
「うわっ!こいつぅー!」
ジュナスはかなり苦戦していた。護衛のMSも相手にしないといけない。フィン・ファンネルならすぐ撃墜できると思った。
「ジュナス!大丈夫!?援護します!」
エリスが来た。だがその時エリスの後ろにラナロウ・シェイドが回った。
「エリス!うしろだぁ〜!」
「?きゃあっ!」
直撃かと思われたが間一髪で避けた。だが右腕が大破している。
「ちぃ!今度はぁー!」
ラナロウが撃ってきた。エリスはもうだめかと思った。
「貴様ぁー!やめろー!」
そのとき、ジュナスの中で何かがおこった。
「ああああああああ!」
エリスの機体をどかして自分の機体を犠牲にした。しかし、シールドで防御している。
「なっこいつ!この!」
その言葉が終わらないうちにビームライフルを撃っていた。
灰色のN・ドーガが爆発した。ラナロウ・シェイド、爆煙の悪魔に勝った。
「ジュナス!あんたやるじゃないの!」
エリスは仰天していた。
「え・・・?僕は何をしてたんだ?」
ジュナスは今までのことを忘れたらしいのか、全然覚えている気配がない。
「あんた・・・?まあいいや、一時撤退よ。艦に戻りましょう。」
「あ、はい・・・」
二人は艦に戻っていった。
「この戦い、勝てるかもしれないな。いや、勝つ!」
そう言ったのはギルダー艦長だ。
「はい、いけますよ!」
ジュナスも勝てると思った。
「しかし、いつ戦闘が開始されるかな?」
イェーガーが言ったその時だった。
艦内にアラート音が響く。
ヴィーン!ヴィーン!!
『戦闘が開始されました!MS隊、出撃してください!艦長はブリッジへ!』
「よし。回避運動開始っ!メガ粒子砲スタンバイ!ミサイル装填!・・・てぇ〜!」
『進路オールグリーン、発進してください!』
「ガンダム行きますっ!」
ガンダムが発進した。戦闘は激化している。
「・・・!あいつが・・・」
一機のN・ドーガがせまってくる。
「皆さんは他のを!これは僕がやります!」
『了解!』
あのN・ドーガはなにかが違うとジュナスは思った。何かが・・・
「あんたが、あんたが・・・シェイドを・・・」
その機体は憎しみと怒りをまとったMSだとわかった。
「うわっそんなに人を憎んでるなんて・・・なにがあったんですか!?」
ジュナスは恐る恐る相手を怒らせないように丁寧に聞いた。
するとパイロットは怒り狂って言った。
「あんたがシェイドを殺したんでしょう!?しらばっくれないで!あんたを殺す!」
爆煙の悪魔ラナロウ・シェイドの恋人だった女性だ。
「そんな、くそっ!」
ジュナスは心が痛んだ。
―自分が殺したんだ。―
そう思い込んで機体を止めた。そのときだ。
「うあああああああ!死ねっ!この人殺しが!」
「うぅあぁぁああ!なんでー!」
ジュナスはシールドで防御した。しながらも心が痛んでいた。
「ジュナス!そいつの言うことは間違ってんだぞ!」
イェーガーが駆けつけた。
「そいつはな、恋人が殺されたから怒ってんだぞ!だがココは戦場だ!相手の事なんか知らない!気にするな!俺たちは戦争をしてんだぞ!?」
確かにそうだ。ジュナスは我に返った。
「ぼく、・・・やります!」
「このおおおおお!」
激しい念がぶつかり合った。
「ちっN・ドーガじゃ性能が違いすぎる・・・撤退しよう・・・」
N・ドーガは撤退していった。
「はあ、ふうぅ〜あの人、強い!」
そのときイギネラのゲートがひとつ破壊された。
「!!!!!よしっ!中に突入だ!いくぞ!」
ジュナスたちは要塞の中に進入していった。
『うわっロンド・ベル軍基地内に進入!ゲートE22突破されました!』
「MS大隊をまわせ!ギルダーも出させろ!」
『了解!MS大隊、迎撃準備!ポイントE40にて待機!』
N・H軍も必死だった。
新型を開発されてからN・H軍の力が弱まってきている。
「うおぉぉぉぉ!堕ちろぉ!」
ズバッ!
ジュナスがビーム・サーベルでN・ドーガを真っ二つにした。
ロンド・ベル軍は三方向に分かれて攻撃している。
第一攻撃隊が、ジュナス率いる部隊だ。
第二攻撃隊が、イェーガー率いる部隊で、第三攻撃部隊がエリス率いる部隊だ。
『第一攻撃部隊!戦況を報告しろ!』
司令部から伝達が来た。
「こちら第一攻撃部隊!ゲートE50まで突破!今のところ損害、無し!」
ジュナスは即座に返信した。
『イギネラ、戦力の50%が消滅、投降20%、撤退20%!!!』
イギネラは陥落したも同然だ。だが、残存部隊があと10%、MSの数にして約数百機。
まだ油断はできない。
「第二攻撃部隊、イェーガーだ。コントロール・ルームはもぬけの殻だ。」
やはりお偉方は一目散に宇宙へ逃げている。これは誰もが想像できる。
だがN・H軍にとっては絶対に最後まで逃げない人とされている。これを聞かされたらN・H軍はおしまいだ。
「こちら第三攻撃部隊エリスです。MSの残りはあと数十と予測されます。」
もう勝った。皆そう思ったに違いない。だが、のこりの数十機の中にあの女、そうラナロウ・シェイドの元恋人、マリ・エースナだ。
「こちら第一攻撃部隊ジュナス。残存部隊と思われる部隊に接触。これを撃破します。」
ジュナスはこの部隊はいつものとは違うと思った。なぜなら、激しい憎しみと憎悪が感じ取られるからだ。
「皆、こいつらは今までとは違う。油断しないで!」
一機のN・ドーガはビーム・マシンガンを斉射した。
ドガガガガッ!
岩肌がえぐりとられた。一機のジェガンが爆発する。
「く・・・皆は艦へ戻って!僕は・・・一人でいい!」
ジェガン達は撤退した。もちろん、イギネラの入り口で逃げてきたN・ドーガを狙撃する。
数十機のN・ドーガがいっきに襲い掛かってきた。
すかさずビーム・ライフルを捨て、ビーム・サーベルに持ち替えた。
「このぉ!投降すれば!死なずに済んだのにぃ!」
ジュナスは、己の非力さに絶叫していた。
ビームは横にゆれ、N・ドーガを二機は切っていた。
「アウゥ!?っつ!こいつらぁ〜!!!」
ジュナスは捨てたビーム・ライフルを持って正確に当てていた。
これであとはマリ・エースナが駆るN・ドーガしかいなくなった。
「このぉ!殺してやる!」
マリは恐怖と絶望感に包まれながらも戦っていた。それほどジュナスが憎いのだろう。
このおもわぬ反撃にジュナスも後退した。
「く・・・外に出て戦うしか・・・」
ジュナスは入り口に向かって思いっきり後退していた。
「な・・・!貴様逃げるのか・・・!」
マリは追った。入り口に出た。
すると、自分の体が燃えている。
ジェガン達に狙い撃ちされたのだ。N・ドーガは爆発して、そのパイロット、マリ・エースナは絶命していた。
『イギネラ、陥落!』
そのアナウンスが入ると一同はわああああああ!と歓喜の声が出ていた。
イギネラは陥落した。すなわち、ロンド・ベルの勝利なのだ。だが、ジュナスは浮かない顔をしている。
「あのパイロット・・・女だった。あんなに憎むなんて・・・」
この勝利は、ジュナスにとっても何かを得られたようだ。
人の命の重さ、尊さ、儚さが。ジュナスは、大人になった気分になった。
「ジュナスー!餞別よ!はい、オレンジジュース。」
エリスがジュースを持ってきた。
「あ・・・ありがと。」
「なんか元気ないわよー?どうかした?」
それはそうである。女性を殺したのだし、妬まれ、怨まれた。
暗い気分になるのは当然である。
「ン・・・大丈夫。ほーら、こんなに元気!」
ジュナスはそう言ってピョン、と飛び跳ねて見せた。
「はは。元気なの!心配してそんしちゃった!」
「おまえなぁ、ったく。」
そういうとエリスは自分の部屋に帰っていった。
もちろん、ジュナスは空元気だった。
『ラー・カインMS部隊!ジュナス、イェーガー、エリスはブリーフィングルームへ集合!』
そう放送が鳴った。ジュナスたちはブリーフィングルームへ急いだ。
「君たちを呼んだ理由はわかるな?そう、次の作戦だ。」
艦長のゼノン・ティゲールだ。
「作戦と、いいますと・・・?」
「ニューヨーク司令部を急襲して欲しい。」
―ニューヨーク。そこはN・H軍が武力を持って制圧した所だ。とうぜん、死者の数は計り知れない。
昔は活気があったがいまはもうMSの残骸と基地しか建ってない寂れたところだ。
「この勢いに転じて叩け!いまは他のところに手が回っているだろう。」
確かにいまはロンド・ベルが勢いに乗って各地で反抗作戦をしてMSは出回っている。
「作戦は2日後の正午に発動!それまで、機体の整備ちゃんとやっとけ!」
『了解しました!艦長!』
ジュナスたちはそれぞれの部屋に戻った。
「―ニューヨークか・・・ギルダー兄さん・・・」
「ふっ・・・ニューヨークなんてすぐ落ちるさ。そして早く戦争が終わってくれよな・・・」
「ニューヨークねぇ・・・ま、大丈夫でしょ!」
それぞれいろいろな思いを胸にクルーは一路ニューヨークへ向かった。
|
〜地球ニューヨーク編〜 |
「ギルダー中佐、奴らはこちらに向かってきています。」
「うむ・・・では奴らがMS隊を散開したら大部隊はカナダへ行け。落とせるはずだ。」
そう言って作戦会議をしているのはマーク・ギルダーだ。
「ジュナス・・・お前はいつもそうだ。だからバカなんだよ・・・お人好しが・・・」
「中佐?なんですか?」
「あ・・・いや何でもない。私も出る。各機体整備を怠るな。」
「了解しました!」
そういって下仕官は去っていった。
ギルダーもジュナスのことが気がかりだった。だが、今はそんなことを考えている場合ではない、と思い他の事に集中した。
「・・・よし。作戦開始3分前!総員!第一戦闘配備!」
『作戦開始!MS隊は発進!』
作戦が今、開始された。
「対空戦闘!対MS戦闘!メガ粒子砲スタンバイ!ミサイル装填!精密誘導弾、てぇぇぇー!」
ゼノン艦長の指揮は素晴らしいものだ。的確に指示している。
『敵、攻撃開始!MS部隊100〜200まで迎撃に当たれ!他はカナダへ!』
「ン・・・意外と早かったな・・・例の新型MSは?」
ギルダーが聞いた。
「出ています。MS部隊100〜200以外はカナダへ向かわせています!」
「よし。わかった。私も出る。」
どうやらギルダーも出るようだ。ジュナスをつれて来るつもりだろう。
「サイコ・ドーガ、ギルダー発進する!!」
バシュッ!
基地のカタパルトから出て行った。
「・・・!ギルダー兄さん!?」
ジュナスはギルダーの念を感じ取っていた。
「ジュナス!この大馬鹿者が!」
ギルダーはジュナスをきつく叱った。
「なんで・・・なんで軍になんか入ったの!ねえ、あの頃には戻れないの!?」
「っちぃ・・・・・あの、頃・・・・・か。」
――――――――――2年前――――――――――
「うう・・・ひっく」
「また泣いているのか。ジュナスはそうやっていつも反撃しないからからかわれるんだよ。」
ジュナスは、誰かにいじめられたらしく、泣いていた。ギルダーは慰めていた。
「でも、僕・・・・」
「わかっている。お前は優しすぎるんだ。そこが、お前の良い所さ。」
「兄さん・・・・・・・!」
ギルダーの事を兄さん、とは読んでいるが、実の兄弟ではない。
家が隣同士で、いつも一緒に遊んでいたから、そう呼んでしまうのだろう。仲が良い証拠だ。
「じゃ、今日は俺んトコで遊ぶか?」
「うん!」
夜遅くまで遊ぶものだからよく親に叱られていた。
が、そんな平和も『あの事件』によって崩れ落ちてゆくのだった・・・・・・
―――――――――――1ヵ月後―――――――――――
「ジュナス!空襲だ!逃げろ!」
「兄さん!」
ジュナスはまた泣いていた。ネオ・ジオン軍の空襲だった。
たちまち街は炎で埋め尽くされた。
「兄さん!兄さん!」
「バカ!泣くなジュナス!大丈夫だ、兄さんが付いている!」
二人は必死で走っていた。二人の両親は、さっきの爆発で、死んでしまった。
ギルダーも、泣きたかった。けど、自分はジュナスのお守りをしなくては、と思うと泣けなかった。
「父さぁん!母さぁん!」
「言うな!何度言ったらわかるっ!」
パシッッッッッッ!
ギルダーが、ジュナスの頬をはたいた。
ジュナスは、頬を押さえて走った。自分も、そろそろ泣き止まないと、とジュナスは思った。
空襲は、ようやく終わった。一言に終わったと言っても街はもうメチャクチャだ。
ギルダーはメチャクチャに壊れた街を見て、思った。
『・・・・・人は、愚かなものだ。滅ばぬと、罪は償えない。地球のためにも、人は滅ばなければならない』
そう思った。もはやギルダーは人に絶望していた。この時から、人を滅ぼすことを決意していたのだろう。
―――――――――――翌朝―――――――――
「ふぁぁ〜あ!おはようにいさ・・・・・!?」
そこには、ギルダーの姿は無かった。昨日の夜に、街を離れてどこかへいったのだ。
「兄さぁん!どこいったんだよ!兄さぁん!!」
ジュナスは、泣こうと思ったが、辞めた。ギルダー兄さんがいなくて、親もいない。強くならなくては、と思った。
その後ジュナスは軍に入り、天才的なセンスで腕をメキメキ上げていった。
「―フ、そんなに俺が気に入らんのならお前の手で俺を討つがいい!」
「っつ!気に入らないんじゃない!兄さん軍から身を引いて下さい!でも、本当に人は滅ばないといけないんですか!?」
ジュナスは叫んだ。ジュナスはギルダーが気になって他の敵など無視している。
「そうさ!・・・仕方ない、俺がお前を討つ!だから・・・おとなしく死ねぇ〜!」
ギルダーのサイコ・ドーガは思いっきりHi−νガンダムに突進させた。
「うわっ!このぉ!」
ジュナスは思いがけない攻撃にビックリした。しかし、ヒラリとかわした。
「ジュナス!援護する!」
イェーガーが言った。しかし、ジュナスの耳には届いていなかった。
「うおおおおおお!堕ちろぉ!」
ヴィイイイン!
ジュナスは一気にビームサーベルを振り下ろした。ギルダーは避けたが、N・ドーガに当たった。
「ちっ!お前等は下がっていろ!これは俺がやる!」
「イェーガーさん、エリス!下がってて!危ないよ!N・ドーガを!」
ジュナスとギルダーは一騎打ちをした。どちらも五分五分で勝負の行方はわからない。
しかし、ほんの少しだが、ギルダーが押している。
「ジュナスゥ〜!こいつで終わりだ!堕ちろ!」
ジュナスがもうだめだと思った瞬間、ジュナスの体に変化が起きた。
―ドクン・・・・・
「っ!うぅうぁ!ぐあああああ!」
「ちょっ・・・ジュナス!大丈夫!?」
エリスはいきなりジュナスが発作を起こしたのでビックリした。
「俺は運をも味方にしたか・・・終わりだ、ジュナス!」
ギルダーがビームサーベルを振り下ろした。が、Hi−νガンダムはバーニアを全開にして避けた。
「んなっ!こんな・・・こんなこと!?」
ギルダーは動揺した。その隙を突いてジュナスはビームライフルを斉射した。
「うおっ!なんだ?さっきまではこんな強くは・・・?!」
ギルダーはシールドで防御したが全弾がシールドに当たってシールドが粉々に砕け散った。
「ク・・・・・ククク・・・ハァーハッハッハ!」
ジュナスはいきなり笑い出した。
「ククク・・・おもしれぇ・・・もっとかかってこいよ・・・全部相手にしてやる!」
ジュナスがジュナスとは思えないほど変わっていた。
「ちっ!ジュナスの奴が!よし、30機、まとめてあいつにかかれ!」
N・ドーガが一気に襲ってきた。しかし、ビームライフルを斉射して、N・ドーガの両腕両足を打ち落とした。そして落ちた所でビームサーベルで一機ずつ貫いていった。
「ジュナス・・・?なんてむごい・・・ジュナス、どうしたのよ!」
エリスがいつもの戦い方とは違うジュナスを見て尋常じゃないと思った。
「ハァーハッハッハ!楽しいねぇ・・・ホント人を殺すって楽しいねぇ!」
「ちっ!狂ったか!?」
ギルダーさえも不思議に思った。
「ああん?ギルダーか。てめえはウザイからいたぶって殺してやるよ!」
なんと宇宙でしか使えないファンネルが動いた。それだけジュナスの念が強いのだろう。
「なっ!ファンネルが・・・動いてる!?ちっ!」
「ハエが〜!堕ちろ!」
ズバババババッ!
フィン・ファンネルも邪気に満ち溢れている。今のジュナスの前ではギルダーも赤子同然だ。
「うおおおおぉ!これほど!」
少しは避けたがバック・パックがやられた。続いて、右腕も破壊された。
「オラオラァー!終わるなよ〜!?」
ジュナスはN・ドーガをサッカーボールのようにして蹴った。もちろん、中に乗っているギルダーもただではすまないだろう。
「ぅあ・・・!俺も終わりか・・・?」
ギルダーは額から血を流していた。しかし、ギルダーは諦めなかった。生きているバーニアを全開にし、ビームを避け、基地へ帰っていった。
「ちっ・・・!逃がしたか!・・・ふん、暇つぶしに、残ったMSでも狩るかな。」
「ジュナス!辞めろ!もう相手は降伏している!」
そう強く呼びかけたのはイェーガーだった。
「ああ?お前のそういう態度が前々から気にくわなかったんだよ!堕ちろ!」
なんとジュナスは味方のイェーガーにまで攻撃を仕掛けてきた。ジュナスは変わった。
「うおぉ!ちぃ・・・ジュナス!目ぇ覚ませ!」
イェーガーはダブル・メガ・ライフルを斉射した。
ドウゥゥ!ドウゥゥ!
Hi−νガンダムに、少しかすった。
「ちっ!ウゼェ!もうお前はいい!死ね!」
ジュナスがビームライフルを向けたその時だった。
ドスゥン!
Hi−νガンダムに重い衝撃が走った。
「アンタ・・・いいかげんにしな!」
エリスが放ったグレネード・ランチャーが、直撃したのだろう。
次の瞬間、エリスはHi−νガンダムにタックルを仕掛けていた。
ズガガァン!
Hi−νガンダムのコック・ピットに激しい衝撃が走った。
「うぐぁぁぁ!?」
そのまま、ジュナスは気絶した。
その後、ジュナスは医務室に運ばれた。
「今日のジュナス・・・」
「ああ、わかってる。あいつの本能かもしれん。・・・恐ろしい事に、な」
ジュナスは、本当におかしくなってしまったのだろうか?謎は、深まるばかりである・・・・・
「うぅぅぅ・・・」
ジュナスは、呻き声を出しながら起きた。普通のジュナスだった。
「・・・?ここは、医務室?なんでこんな所に?」
ジュナスは、いままでのことは全然覚えていないらしく、きょとんとしている。
ドアが開いた。プシューっと音がした。エリスが入ってきた。
「あ!ジュナス、目が覚めたのね!」
「へ・・・?あ、うん。僕、どうしてこんなところで寝てるの?」
ジュナスはエリスに問いかけた。
エリスは、ここで真実は、話さまい、と、思っていた。
「いや、あなた、戦闘中にいきなり意識を失うもんだから、ビックリしちゃったわよ!?」
エリスは、あえて真実を言わなかった。ジュナスに教えるのは、まだ早いと思っていたのだ。
「・・・!そうだ!ギルダー兄さんは!?」
「はぁ?あんた何言ってんの?誰よ、それ?」
もちろん、エリスが知るわけない。
敵のコック・ピットが見えたら、わかるかもしれない。しかし、絶対に見えない。
常に知らない人と戦っているのだ。戦争とは。そう、それが昔の知り合いかもしれない・・・
「ま、いいわ。あんたはそこでまだ寝てなさい。頭、怪我してたからね。」
エリスはジュナスのことを気遣っている。自分が気絶させたからだ、と、本人は思っている。
「う、うん。わかった。どうりで、頭が痛かったわけだよ・・・」
エリスは、心が痛んだ。
エリスは元々、ウソが嫌いだった。しかし、今は大嘘をついている。しかし、真実を話す日は、そう遠くはないだろう。そう思っていた。
―ロンド・ベルカナダ本部―
N・H軍がこの本部に侵入しようとしていた。そう、いまは戦力の大半が出撃していて基地はガラガラなのだ。
そこにニューヨークと言う大きな犠牲を支払って、カナダ本部を落そうと、考えていたのだ。
「ん・・・?多数の熱源を確認!これは・・・N・H軍の本体です!」
本部の専属オペレーターが、叫んだ。周囲はどよめき、パニック状態になった。
「とにかく!応援を呼べ!ここの守備隊ではどうにもならん!」
その時、N・H軍の指揮官は、一斉攻撃の合図を出した。
「総員!攻撃開始!MSは全て出撃!いっきに落せ!増援をこさせるな!」
N・H軍は、一斉に攻撃をした。無論、数十の守備隊はほぼ全滅した。
『総員!第一戦闘配備!カナダ本部からの応援命令です!』
ラー・カインは、最大戦速でカナダ本部へ向かった。少し遅かったと思った。
そのころ、カナダ本部の生き残ったわずかの部隊が奮戦していた。
「!うわぁぁぁあ!カツ隊長!助け・・・」
モニターは、砂嵐で覆われ、音声はざぁー・・・っト言う音しか聞こえてこない。
守備隊第12隊隊長は、運良く艦隊の直撃を受けずに、生き残っていた。
生き残った、とは言えわずか4機しか今は残っていない。
しかも、機体がよく使われたボロボロのジェガンだから、さらに分が悪い。
「く・・・関節が悲鳴を上げている・・・このままじゃシステムダウンしちまうぜ・・・」
隊長のカツは、絶望の淵に立たされていた。しかし、よく頑張っている。
「隊長!このままでは挟み撃ちです!離脱を!」
「よし、付近の森林地帯まで、一時撤退!急げよ!」
撤退とはいえ、すぐにみつかってしまうだろう。
見つかったら、まず命はないと思う。機体も、森林地帯まで行ったら、もう動きはしないだろう。
隊員は、全員そう思っていた。しかし、ここで死んでたまるかと言う強い生への執着心もすごかった。
「ふ・・・ふふふ。これで、カナダ本部は落ちた。時間の問題か・・・」
N・H軍の指揮官は、そう確信した。増援がきても、もう遅いのだ。
「よし!基地の制圧後、防御網を張れ!絶対にとらせるな!」
N・H軍は、必死でこの基地を制圧した。今、基地は制圧されたな、と指揮官は思った。
―ラー・カイン―
「何!?カナダ本部が・・・落ちた!?」
艦長のゼノン・ティゲールは、愕然としていた。しかし、敗北が決まったというわけではない。
艦の全員が一瞬、時が止まった。それほどビックリしたのであろう。
「・・・もう防御網を張っているな・・・付近で生き残りの捜索だ!見つかるなよ・・・」
艦長は、まだ生存者がいると確信していた。明確の理由は自分でもわからない。ただ、そんな気がしたのだと言う・・・
『1000先に、N・ドーガ!パトロール部隊かと思われます。』
「よし!スティルスバギーを5機発進!生存者の捜索にあたれ!」
陸戦仕様のパワフルなバギーが、勢いよく発進した。
「なあ、生存者っているかよ?」
イェーガーが、ジュナスに聞く。ジュナスは、即答した。
「います。なんか、そう思うんですよ、なんとなくね・・・」
曖昧な答えだが、一番良い答えかもしれない。
「!!ジュナス!車を止めろ!人影だ!」
イェーガーは、目がとても良く、1.5メートル先の新聞の字も読める。
イェーガーとジュナスは、足音を立てずにそっと忍び寄った。
「ん?MS?あれは・・・ジェガンか!よくもあんな古いのが現役でいられる・・・」
イェーガーは、すぐには生存者が乗っているとは気づかなかった。
何か旗みたいなものがゆらゆら揺れている。ロンド・ベルのマーク入りの旗だった。
「あれは・・・ロンド・ベルの軍旗じゃねぇか!よし、救出だ!」
イェーガーと、ジュナスはすぐさま車を連れて救出した。
救出した部隊は、カナダ本部守備隊第12隊の生き残った人、4名だ。
その中には、カツもいた。カツは、はっとイェーガーの顔を見て、叫んだ。
「お、お前イェーガーか!エルンスト・イェーガーか!」
「カツ!カツじゃねぇか!どうしたんだ!」
二人は、昔からのなじみで、一緒に軍に入った仲だ。
しかし、イェーガーはテストパイロットに任命され、二人は離れ離れになり、1年は会っていなかった。
「しかし、懐かしいな!まあ、いい。艦に戻るぞ!」
「イェーガーさん、この人と、知り合いですか?よかったですね。」
ジュナスは、羨ましかった。ギルダーとは、敵同士で会って、今は互いに殺しあっている。
しかし、イェーガーは仲間同士で会えて・・・それはそれでいい、とジュナスは思った。
ジュナス、カツ、イェーガー、その隊員を乗せて、ラー・カインへと戻って行った。
戦局は、まだまだ劣勢だ・・・・・・・・・
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