宮崎アニメをのぞいてはあまり映画館で邦画を見ないタチなんですが、去年は何本か見る機会がありました。
ところが、選んだ映画がたまたま悪かったのか、「日本映画ってこんなレベルなのか?」「これでいいと、ホントに製作者は思ってるのか?」と怒りに駆られて映画館を出たのが約2本ほどアリ。
その『日はまた昇る』と『たそがれ清兵衛』のことを、今年になって巡回中のサイトやニュースで見かけたんで、ふたたび絶望と憂国の思いに駆られちゃったりして。「もうメチャクチャにぶった斬ってやるう〜!」と荒れております。(-_-;)
感想書く気力がなえるほどだったんで遠慮していたけれど、書かないと気持ち悪いので吐き出してしまいますわ。
それにくわえて、他の映画で感じたことなどもつけ加えて日本映画について考えてみました。
上記2本のファンのお人は、ご不快な思いを感じられるかもしれないことを覚悟の上で、どうぞご覧なさいまし。
(まったく関係のない脱線したひとりごと:「憂国」というと、なんでミシマを思い出すんでしょうねえ。「憂国忌」に出かけて「楯の会のお兄様達って、と〜ってもかっこよかったの〜!(はあと)」と言ってた後輩を思い出したり。(笑)憂国の志に燃えても自衛官達に罵倒されるわ、写真誌に生首写真はサラされるわ、ワシらのよーな当時のガキらに「ちょっちアブナイその道の人」認識はされるわ、たぶん彼自身の美意識としては容認しがたい結果なんでわ。はあ、いまだにあの事件の時のニュースの、彼らの腹の切り方の深さの違いやら介錯でずっぱり斬れたかどうかとか、生々しい報道内容覚えてますけどね。人生最初の検死報告ニュースの記憶。「純文学の人=ちょっとアブナイ」認識は、あれ以来か。....おかげで純文学からは遠回りして避けてたような気がする。(笑)というわけで、「憂国」という単語で脱線する幼児期のトラウマ再発見の検証、これにて終了。ホンマになんも関連のないひとりごとですな(^^;))
『助太刀屋助六』
真田君の町人姿の麗しいフトモモを目当てに行った作品。(笑)
『日はまた昇る』
ビクターのサイトに行くと、TOPにこれのDVD化のニュースが書いてあるんですよ。愕然としましたわいね。
そう、私は題材への興味で見に行ってみたんですよ。実話ネタは好きだから、料理の仕方で美味しくなるであろうと。その期待が失敗でした。
はい、もう怒りましたよ。怒り狂いましたよ。
数十年前のTV物にありそうな、お約束のパターンくさい演技を求めるような脚本。
じっくり絵コンテ切って、マシな映像プラン立てなさいよ。映画なんだから、絵で語らせなさいよ。
『たそがれ清兵衛』
藤沢周平原作の初映画化、山田洋二の初時代劇作品。わたしゃ原作も読んでおります。エピソードをふくらませた他の2編の方は未読ですが、藤沢作品は嫌いじゃあない。これで真田君主演なんだからと、いそいそと割引券手に入れて見に行った作品。
時代劇にありがちな結い髪に対する無神経さや時代考証の杜撰さに対する反発。初時代劇挑戦に対しての、監督のこの志はよしとしよう。
ああ、そうだ。すごかったのは脚本。まるでラジオドラマかと思いましたぜっ!(←全然ほめてません(笑))
昔、今村昇平監督の『楢山節考』という映画がありましたっけな。たしかカンヌ映画祭に出品して賞とったんでしたっけ。
日本映画って、絵で語ることとワクワクさせることを忘れてるんじゃない?
私がぼろくそに書いた2本は、なーんか働くお父さん向けの映画っつー印象もしますわいね。でも、一所懸命働くお父さん達は、映画館にはあまり行かないものなのね。(苦笑)
お銭やヒマをやりくりして映画館に並ぶのは、学生や若い社会人やオトメ達。
『カリオストロの城』の時、最初の興業成績は不振だったけれど、その評価は高かった。クチコミで広がり高まる評価を、【カリオストロ効果】と書いた特集本もありましたっけ。次の『ナウシカ』の原作執筆と映画化は、それがキッカケとなったとも言えます。評価が次作を生み、次作がまた評価を高めるという、波状効果がそこにあったんです。
映画館へ足をめったに運ばない家庭の子供さえ、彼の作品を見て育ちました。そして、映画館へ行って見ようという新しい観客を掘り起こし続けているんです。
キネマ旬報だったか、宮崎監督の初期の映画作品に与えられた印象深い言葉があって、チョイとうろ覚えなんですが、彼の作品のすべてにそれは当てはまるんです。
これは、わりとよかったんですよね。映画全盛の白黒映画時代の日本映画には、活劇の傑作が多いでしょう。その頃の映画の雰囲気を与えてくれるような、絵と行動で語る、楽しませてくれる作品でした。
若い頃知ってますから、ちょびっとフトモモのシェイプに時の流れを感じちゃったけど、いかにも真田君らしい!って、若さあふれて元気いっぱいの冒険活劇。
花一輪の伏線に、ハッと吐胸を突かれる瞬間がありました。黙して語らず、表情で語ってみせた仲代達也扮する、お侍。その表情が心に残り、過去を語り出す、雄弁な一輪の花。
はつらつとした真田君らしさをたっぷり生かし、仲代達也の凄みを味わい、カメオ出演のそうそうたる顔ぶれさえさりげなく使いこなして渋くきめ、大作指向はなくても脚本や演出次第で楽しくオモロイ活劇映画はできるんだ!という、ちょっとホロリとさせるところもあるコミカルな小品。
ただ、岡本監督というかなーりお年をめした方がこんなに頑張ってるのに、若い衆は何をしてるんじゃ?と思っちゃうんですよ。
ビクターのビデオ開発秘話だからといって、こんな映画を宣伝するしかない社員さん達がホンマに気の毒になってしまった。映画の中にも出てきた松下さんやソニーさん達にだって、自慢できないでしょ。
ハイ、もう、社員教育研修用にでも使って下さいな。センスのある若い社員は、苦笑いすること間違いなし。
あんな映画にしちゃって、それでも大ビクター様サイトに宣伝していただけるんかいな。
というか、ハジをさらしている気がする。(-_-;)
『プロジェクトX』のようなドキュメンタリーなら感動の作品になるであろう素材を材料にして、あんな出来では!
2回は見ようかと余裕を持って出かけたけれど、怒りのあまりエンディングさえ見ずに席を立ちました。エンディングクレジット見る気もうせたのは、ひさしぶりでしたじょ。(-_-;)
この映画で出会ったのは、無惨なまでに鈍くさい、時代遅れの映像と演出。
仲代達也扮する松下幸之助だけが、いいところかっさらっていきましたわい。(←この辺がゲスト出演の貫禄か(笑))
あああ、下手な役者と鈍くさい演出に囲まれて、渡辺謙をこんな映画に出させるなんて、もったいなくて涙が出るっ。
なにが嬉しくて、演出効果も大してないのに、手持ちカメラどたどたゆらしながら役者を追いかけやがるかっ!
なにが嬉しくて、熱っぽい西田敏行の長丁場の演説シーンを(またもや手持ちカメラで!)グルグル回りながら長回しで撮りやがるかっ!
なにが嬉しくて、安っぽい見え見えの合成映像で、運転中の車内会話を延々とさせやがるかっ!
心を揺さぶる説得力もなく、役者に立ちん棒の学生会をやらせちまいがちな、新しさのカケラもない、会話や映像の組み立て方。
あまりにも演出が、役者を助けなさすぎる。いや、役者の演技さえ、鈍くさい演出が無駄にして殺してやがる。
いったいこれが、ほんとに、21世紀に生きるプロの映画人の撮った映画なのかよっ!
あああああああああああああ!(←千円のレディースデイ料金だったけど、こんな映画に金払って見ちまったことへの怒りがこみ上げて、絶叫したくなったらしい)
ええ、もう、わたしゃ、30年前の青春ドラマかと思いましたぜっ。
火器にたとえるなら、時代遅れの種子島銃、しかも火薬が湿気った不発弾だわい!
カット割りでそれぞれのエピソードに関係ある人の表情挿入すりゃあ、長丁場の演説もダレないで説得力もわくわよ。
セリフや役者に過剰にもたれかかららずに、胸をかきむしるようなエピソードの入れ方を考えなさいよ。
マンガやアニメの名作の方が、よほどカット割りや演出プランを練ってるわよ。
....というわけで、私を絶望させた日本映画迷作ナンバーワンの称号を、謹んで献上いたしますわい!(-_-;)
しかし、はっきり言いますと、中だるみして寝ちまったぞい。おかげで3回ほど見ましたが。(笑)
封切りから1週間目の週末だったというに、周囲の観客は中年以上、ほとんどは老年。そういう層を狙ってたのか。いったい、それでいいのか?
これ、ベルリン映画祭持っていったんですよね。ヤーパンのサムライを知りたい外人さんには、それなりにウケたでしょうけどね。
わたしゃ賞を狙えるとはまったく思ってませんでしたよ。
はい、これが賞を総なめにしてしまったという日本映画界に、やっぱり少々やりきれない思いを抱いてしまいましたぜ。
脚本も演出もそこそこ出来はいいと言える。しかし、山田洋二をしてこれが日本映画の限界なのか?と思っちまったのが、私の本音。
今回クライマックスの斬り合いで、真田くんと剣を交える役は、またもや舞を本職とする舞踏家さん。
印象的ではあったけどねえ、セリフを作り込みすぎて長さが緊張感をやや間延びさせてたかも。言葉だけで過去の無惨さを表現しようとすれば、舞台芝居になっちまう。
ほのかな恋心が育つ様子も、もう少し描いてくれなきゃ、まだるっこしいばかり。真田君も宮沢りえちゃんも、もったいない。
なんでこう、演出が役者を助けてくれないんでしょう。力は入ってた作品なんだから、演出の練り具合で、もっとハートにザックリ斬り込むような作品になり得たはず。
父と子の語りを、なぜロングでカメラ据え置いて、まるで説教のように語らせるんだろう。
子供から見た父の横顔。かいま見る悲壮な顔や背中。美しい人の登場で家の中が華やぐ姿。それに喜びを感じる子供の心の動き。子供を語り手にするなら、そういう姿をなぜ使わないんだろう。なんで子供を語り手にしたのか、かえって主人公達の心の動きと距離を置いてしまって、逆効果じゃないかと思っちゃったんですね。
子供出てないシーンも多いし、この藩や登場人物達が置かれてる状況やらなんやら、絵でなくてセリフで説明しやがるんですな。
【幕末】【お家騒動】の動乱や【下級武士】の悲哀を語るは、長ゼリフ。それだけで悲劇を暗示させるキーワードがやまほどあるのに、なぜ重ねて絵に語らせようとしないのだろう。
そういうセリフやナレーション主体の演出プランだとか、カット割りを必要最小限にしか使わない傾向。これは昨今の日本映画にありがちですが、こういうところって舞台劇(もちろん前衛劇でなく、新派とか世話物の世界ね)の延長なのか、って感じてしまうのですよ。映画でなきゃできないものを求めて見に行くのに、舞台劇と違ってるのはわりとお金かかった衣装やセットやロケ現場ってんじゃ、なんだかなあ。
『渡る世間は〜』じゃないけれど、なんで評価される脚本って長セリフ長回しカメラなのやら。
感覚でなく、細かく説明してもらわにゃわからんお年寄り向きかいなあ。たぶん企画をOKして資金出すような面々が年寄りなんか、絵を想像するイメージ喚起力がないのかいなー、と思ってしまって、また日本映画界を憂いたり。(笑)
はあ、私がいつも気にする画面構成や照明の繊細さですが、リアルさの追求の犠牲になってましたね。暗い中にモヤモヤうす黒い顔で動かれても、物語にメリハリがつくわけじゃなし。
日本映画は、こういう残酷無惨な文芸/芸術作品を喜劇や活劇より評価する傾向があるかも。
でもまあ、『〜節考』だって、家や集落の中で荒れ狂っていく登場人物達の感情がどう帰結するか、【うば捨て】という悲劇をどう描くか、観客の興味を力技で引っ張るドラマの要素ははるかにありましたわいね。
『たそがれ清兵衛』。時代考証に力を入れて下級武士の悲哀を描いても、時代の悲しみを『〜節考』ほどは徹底できず。喜劇・活劇の要素を披露しても、そのカタルシスへと観客を大きく跳躍させることができず。恋愛の描写は、ジリジリと煮えきらず。なんとも中途半端な作品となってしまった印象。
えーと、ローンに苦しみリストラの恐怖におびえながら働くお父さん達のための、郷土の歴史を大切に教えたがる教育委員会のおじさま達とかもチョイと喜ばせそーな、昔のお父さん達もたいへんだったんだよー的な、おじさんドリーム入ったっぽいホノボノ恋愛ドラマかよって感じでしょうか。(笑)
テレビで流れりゃあ、そこそこの視聴者はあるかもしれませんが。(『日はまた〜』は鈍くさすぎてチャンネルかえられちゃうと思うけどさ)
世界にうけて評価されるのが、実写の映画界で修行を積んできた人の作品ではなく、アニメ映画であったり、畑違いの分野出身の北野たけし監督作品だったりすることに、日本映画界は危機を感じて何年もたつはず。それでも、何十年も状況はあまりかわってない。かろうじて頑張ってるのは、超ベテラン監督達ばかりに思えてきちゃう。
面白くて何度も見たいと思わせるパワーが見いだせれば、何度も足を運び、クチコミも広がる。ビデオやDVDを買いたい人も現れる。この監督なら、と思って次の映画にも足を運ぶ。そこに家族連れがウケる要素が加わると、大ヒットも考えられる。
それを日本映画界で体現してるのが、アニメ畑の宮崎駿監督だということは、誰もが気がついています。
そう、彼は東映動画時代から長い間、いっしょにやってきた高畑さんや大塚さん達を支えて映画の設定アイデアやレイアウト等を考えてきたんですが、映画デビューは【原作つき】でしたさ。
しかし、繰り返しTV放映された『カリオストロの城』は、『ルパン3世』という題材でありながら、ちょっぴり昔の外国映画のオシャレな雰囲気や活劇の楽しさを盛り込んでるようにも感じさせました。
いわゆる『旧ルパン』シリーズが、最初に意図していた【大人の視聴にたえるセンスを持った】たたみかけるような冒険と謎と笑いの連続。それを存分に披露し、ルパンシリーズの中でも何度もの放映にたえる、古びないセンスを持った作品でした。
宮崎さんの緻密な画面レイアウトと演出、それにこたえたスタッフ達の画力、ルパン一家そのものを支えてきたベテラン声優さん達の演技。すべてが互いに補い合って、力を与え合って、何度見ても面白い作品になったと言えます。
そういう育ち方をした、そういう生き方をしている映画監督が実写の世界にも育ってほしい。
いや、育ってくれなくちゃあ、映画界全体が豊かな世界になりゃあしねえんですよ。
冒険活劇のもたらす、ワクワクとしたとした、手に汗握る感覚。日本映画から長く失われていた冒険活劇を、この映画が取り戻した。たしかそんな内容の言葉でしたよ。
その発言をした人が、こう評価される映画が実写作品でなかったことをちょっぴり残念がっていたのを覚えています。
もう十数年も昔のお話でさあ。
今もそれがかわらないように思えるのは、私も残念ですよ。
予算じゃあない。スターじゃあない。脚本です。演出です。
低予算でも面白い映画の出来る見本は、過去の白黒時代の作品や海外の作品が、たっぷり見せてくれている。
日本映画から長く失われていたものを取り戻さなければ。映画館に足を運ばなくなった観客を。彼らがまた何度も足を運びたいと感じさせるような胸のトキメキを。
....そんな映画ができることこそ、未来につながるんじゃないかと思うのですよ。
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